稚内空港を中心に道北を巡る旅行に行った際、宿泊先に選んだのは浜頓別にある「トシカの宿」でした。クッチャロ湖の湖畔に位置していて、天北線が近くを通っていた歴史もあります。ジンギスカンや手作りパンなど、美味しい食事も食べられる宿でした。
今回の旅行は稚内空港を出発し、猿払から浜頓別を経由し、幌延を経由してぐるっと稚内へと戻る行程で移動。天気が心配だったけども、当日は天候にも恵まれてハッピー。
浜頓別の街はずれ、クッチャロ湖畔にある「トシカの宿」
今日の宿泊先は、浜頓別の市街地から少し離れた場所にある「トシカの宿」という宿。北海道を中心に広がる安宿のネットワーク「とほ宿」のひとつで、2食付きで7,000円以下で宿泊できました。周囲は木々に囲まれて自然いっぱいです。
建物と建物の間にある通路が入口。スリッパがあるので履き替えて食堂方面に進みます。
食堂兼フリースペース。夜10時まで解放されていて、宿泊者同士で談笑したりする場所になっています。でも聞いてみたら今日は私しか宿泊しないとのこと。ここはネット予約は行っておらず、昔ながらの電話予約のみなので、知らない人も多いのかもしれない。
ここ「トシカの宿」は50年ほど前から営業していて、壁には昔の紹介ポスターが貼られています。一番左のポスターには英語で「国鉄天北線」の記載もありました。
実はすぐ横に天北線が走っていたトシカの宿。当時は定期的に列車の音が響いていたんじゃないかな。
天北線の歴史と廃線跡を記したポスター。音威子府駅から稚内までを宗谷本線と天北線でぐるっと回ってこられた時代、タイムスリップして行ってみたい。でもいつかは「稚内まで列車で行けた時代」なんて言われるときも来てしまうのだろうか。
天北線が走っていた頃に書かれた周囲の案内マップ。インターネットに書かれた情報はある日消えてしまうことも多いけども、こうして紙に書かれたものは長らく残るよね。私も本に記すことをしないとな。自己満足でも良い。
こういう宿にあることが多い旅ノート。ちょっと見てみると、30年以上前の天北線や興浜北線が走っていた頃に来た人の記載が残ってました。今では荒廃している飛行場前駅や山軽駅で降りてここまで来た……など、当時の貴重な資料となっています。
同じ8月24日の日付もあり、当時東京の大学生だったグループが上野から夜行列車で青森へ、そこから青函連絡船で北海道に上陸したと書かれていました。津軽海峡冬景色で歌われることが当たり前だった時代があったのだなとしんみりします。記した人は今では50代から60代くらいでしょうか。
トイレや洗面台は共用設備
ここでは洗面台やトイレは共用。まあこういう宿では一般的ですね。
洗面台は真ん中だけ自動水栓。しばらくすると温かいお湯が出るようになっていました。
洗濯機と乾燥機。有料で使用することができます。
近くにある「クッチャロ湖」から眺める夕日は最高
宿のすぐ近くにあるクッチャロ湖。似た名前の「屈斜路湖(くっしゃろこ)」と混同しないように注意が必要です。ちょうど夕暮れ時だったこともあり、日暮れを眺めてきました。
静かな湖畔で沈む太陽を眺めながら、何も考えない時間。あれこれ悩みも多いこの頃だけど、そんな悩みなんてちっぽけなことなんだ……と思える光景が広がっています。グルメも良いけども、これこそが北海道の楽しみ方だと私は思う。
ジンギスカンやカニ・ホタテが並ぶ夕食
日暮れを眺めて宿に戻ったら夕食です。以前はジンギスカンの食べ放題を提供していたようだけど、現在では原材料の高騰などによって終了。現在ではジンギスカンをメインにホタテやカニなどの北海道らしい定食スタイルで提供されています。
柔らかいお肉がたっぷり入ったジンギスカン。味付けはあまり濃すぎないけども、焼き加減も絶妙でご飯があっという間に掻き込まれていきます。ご飯はおかわりできるので、無くなっても安心。
ホタテと毛ガニ。カニは多すぎると身を取るのが大変だから、これくらいの量だとちょうど良いなって思う。
今年は豊漁と言われている新物のサンマ。焼き立てで香ばしい香りが漂います。脂が乗って柔らかいサンマを食べると、だんだんと秋の訪れを感じられます。関東ではまだまだ「秋ってどこ」って雰囲気だけど。
食後には紅茶とお手製のケーキが出てきました。甘さは控えめのケーキで、食後の口直しにもちょうど良い。ごちそうさまでした。
近くの温泉施設「はまとんべつ温泉ウイング」でお風呂
宿にもお風呂はあるけども、近くに温泉施設「はまとんべつ温泉ウイング」があるので入ってきました。トシカの宿で入浴券を購入すると、現地で買うよりも安価に入浴できます。
泉質は「ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉」で、トロトロとした肌触りが特徴の美肌の湯。サウナもあるので、温泉やサウナが好きな人はぜひ行ってみてほしい。
朝食は手作りパンがメインの洋食
朝は7時半に朝食。たまねぎをうまく使った目玉焼きはぜひ真似したい。他にはスープにサラダ、ヨーグルトなどの洋食メニューが並ぶ朝食です。
このパンはホームベーカリーで焼いている自家製。ジャムやマーガリンも用意されていたけども、まずは何も付けずに食べたい。もちもちして一味違う美味しさです。
食後にはコーヒー。牛乳を入れてカフェオレにしていただきます。ごちそうさまでした。
食後のゆったりタイム。ふと宿の人が「エゾリスがいる」と話していたので外を見ると、野生のエゾリスがご飯を食べていました。早速カメラを持って写真を一枚。なんともかわいい。
ゆったりとした時間が流れる、旅情あふれる宿
出発の準備を整えて名残惜しいけども出発。宿の人が外まで出てきてお見送りしてくれました。初めて泊まった宿だったけど、手作りの食事にゆったりとした空間で心身ともにゆったりと過ごせました。てか、Googleマップのレビューに低評価書いている人がわからない。
また、朝には野生のエゾリスにも出会えてほっこり。一般的なホテルとは違うことも多いけど、浜頓別で宿を探している人は候補のひとつに入れてみてはどうでしょうか。
でもふと思う。数十年前に泊まった人の日記に残る「天北線」や「興浜北線」の記録を見ると、その時代に泊まってみたかったな……と。
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